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03.「大腸がん」は腺腫、早期がんのうちに取れば治ります! ~『予防する医療』への意識改革を!その3~ 

 現在、生涯の内に2人に1人が「がん」にかかる時代ですが、ほとんどの「がん」が家系とは関係なく生じることは意外と知られていません。「私の家系にがんはいない」といって「自分は大丈夫だ」と考えている方が多いのですが、これは間違いです。

 「がん」は老化現象の一部として「誰でもなる可能性」があります。そのため、「がん」の性質をよく知ることは、心身ともに健康な生活を送るうえで非常に大切なことです。

 今回は「大腸がん」を取り上げます。

 現在「大腸がん」は、女性のがん死亡の第1位、男性の第2位で非常に増えてきています。
 大腸がんの危険因子としては、「アルコール」、「肉」、「内臓脂肪型肥満」などが挙げられ、食事や生活そのものに直接原因があることが多いのです。
 とくに日本人は欧米人と比べて軽度の肥満であっても大腸がんや心血管性疾患にかかりやすい民族です。メタボが増えているために、「大腸がん」が非常に増えているのです。

 また、「大腸がん」も「胃がん」や「食道がん」と同様に、「症状の無いうちに」大腸内視鏡検査により早期発見すると、ほとんどの場合、内視鏡治療により「完全治癒」が期待できます。
 しかし現在の検診は、進行大腸がんを見つけるための「便潜血検査」であるため「大半の早期大腸がんは見逃されます」。

 胃腸症状がある人はもちろんですが、症状が全く無い人でも定期的に5年に1度ほどは大腸カメラを受けると、進行大腸がんになる前に見つけてポリープのうちに切り取ることができます。

 ほとんどの大腸がんは、まず大腸の細胞の遺伝子異常で「腺腫」というポリープになり、さらに遺伝子異常が重なって次に「早期がん」になり、さらに遺伝子異常が積み重なって、浸潤したり転移するような「進行大腸がん」に育ちます。

 逆に言えば、突然進行大腸がんになることはなく、長い期間、腺腫や早期大腸がんの時代があるため、このうちに切除すれば完全に治るのです。

 
 しかし大腸カメラは「とても痛い検査」と思われ、敬遠されています。でもこれは誤解で、大腸に癒着がある一部の方を除けば、「痛くない大腸カメラ」をマスターしたドクターの検査は胃カメラ以上に楽に受けられます。

 ただし「痛くない大腸カメラ」をマスターしている医者は少ししかいないため「痛い検査」をうけている方が多いのも事実です。

 実際、私が行っている大腸カメラで「痛い」と言われる方は20人に1人もおられません。さらに癒着のためにどうしても痛い方には鎮静薬(睡眠薬)・鎮痛薬などを使って「痛く感じない」様に工夫する様にしています。

 「大腸カメラは痛い」という先入観をなくし、「痛くない大腸カメラ」を受けられるお医者さんで、ぜひ定期的に検査を受けて下さい。そうすることで大腸がんが大きく進行して症状が出てしまう前に見つけて治すことが可能なのです。
 
 私はこの丹後、北近畿の地から胃がんや大腸がん、食道がんで亡くなる方を1人でも少なくしたいという思いで日々仕事をしています。皆さまも「自分の健康は自分で守る」、「治せるものは治るうちに治す」ように心掛け、自分の周りの家族・知人にもぜひこのことを伝えてあげて下さい。

(「くすぐる診療所」2012年6月号より改訂)

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