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010.「1年の計は新年にあり。」 ~『予防する医療』への意識改革を!その9~

 今回はこれまでの連載のおさらいをしますので、皆様、1年の「健康計画」を立ててみましょう。

 現在日本人の死亡原因の第1位が「がん」であり約30%、2位が心疾患で約15%、3位が肺炎で約10%、4位が脳血管疾患で約10%の順です。
 このように見てみると、「がん」と「血管の病気」の2種類を予防することが非常に大事なことが分かります。

 「がん」の中で最も多いのは「消化器のがん」で、そのうち予防が可能なものは、これまでご説明してきたように、「胃がん」、「肝臓がん」、「食道がん」、「大腸がん」などです。

 このうち「感染症」が原因になるものとして、「胃がん」はピロリ菌の感染から慢性胃炎になり、「がん」が発生することが分かっていますので、一度ABC検診(採血)などで「ピロリ菌」の検査(検診には含まれません)を自分で受け、自分の「胃がんの危険度」を知り、それに応じた定期的な胃カメラ検査を受けましょう。そのことで「胃がん」は早期に発見して治すことができます。

 「肝臓がん」に関しては次回以降で詳しく説明しますが、大部分はC型肝炎またはB型肝炎のウイルス感染が原因ですので、これらも採血でC型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルスの検査を自分で一度は受けておきましょう。

 それに対し、「大腸がん」、「食道がん」は生活習慣が原因となることが分かっています。
 アルコール、たばこ、肉食、野菜の少ない食事、肥満などがこれらの原因となるため、生活習慣を見直すことで予防が可能で、また胃カメラや大腸カメラ検査を定期的に受けることで早期発見が可能になります。

 最後に、心疾患や脳卒中といった「血管の病気」が原因となるものは、「動脈硬化」が原因となります。
「動脈硬化」を引き起こす病気としては、高血圧、高脂血症、糖尿病、高尿酸血症、肥満などであり、生活習慣としては「たばこ」「高脂肪、高カロリー食」「ストレス」などが原因となります。
 これらの病気は検診で調べることができますので1年に1回は是非調べるようにしましょう。

 以上のように、「ピロリ菌」、「肝炎ウイルス検査」、「胃カメラ」、「大腸カメラ」、「検診(レントゲン、エコー検査を含む)」を定期的に受け、肥満やメタボの原因となるような生活習慣の改善、禁煙を行うことで、ほとんどの重大な病気を予防または早期発見できます。

 以上の検査や検診、生活改善の計画を立て、計画通りそれを実行することを是非お勧めします。


(「くすぐる診療所」2013年1月号より改訂)

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