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102.「肩凝り(こり)」の話〜その3:「カイロ?整体?指圧?リフレ?整骨?の違いとは?」

 前回は按摩(あんま)・マッサージといった古い起源を持つ手技療法につき説明しました。今回はさらに新しい手技療法を整理して行きます。

 19世紀後半から20世紀前半に相次いでアメリカで始まった「オステオパシー」「カイロプラクティック」「スポンディロセラピー」は、アメリカ3大手技療法と呼ばれ、明治から大正時代に日本に伝わりました。

 オステオパシーは体の筋、関節、神経、血液などの機能障害を幅広く対象としてこれらを矯正する療法で、アメリカでは西洋医学医師(M.D.)と同等のドクター・オブ・オステオパシー(D.O.)として正式な国家資格として認められています。

 カイロプラクティックは脊椎のずれに注目して矯正する療法で、時には体の可動範囲を超えて脊椎関節を動かすこともあり、オステオパシーより怪我の危険はやや高めです。カイロプラクティックはアメリカ、ヨーロッパ各国をはじめ世界の40か国で法的に認められ全世界に普及している手技療法ですが、日本では現在オステオパシー同様、法的には認められていません。

 スポンディロセラピーは脊髄神経を刺激し内臓の働きをコントロールする療法ですが、現在では衰退しています。明治から大正時代の日本には古来の手技療法が約300種類以上もあり「療術」と言われていました。それらとこのアメリカ3大手技療法を統合して日本では「整体」や「指圧」が生まれ発展してきました。今でも整体に行くと「脊椎の歪み・骨盤の歪みの矯正」などと言われ、カイロプラクティックやオステオパシーの理論が根底にあるとわかります。

 指圧は指先や手掌でツボを圧迫する手技療法で国家資格です。昭和初期に浪越徳次郎(なみこしとくじろう)がリウマチを患う母親の苦痛を軽減するために生み出し、「指圧の心は母心」というお馴染みのフレーズでも有名です。指圧は浪越が来日中の有名女優:マリリン・モンローや、伝説のプロボクサー:モハメド・アリなど海外の著名人にも治療を行ったことから世界的にもSHIATSU(シアツ)として普及しました。

 また「リフレクソロジー」もアメリカが発祥で、リフレックス=反射という語源から来ており、リラックス=寛(くつろ)ぐとは違います。足裏の特定の部位(足裏反射区,足つぼ)が体の各臓器に対応しており、その部位を押すことで反射的に各臓器の改善を図ると考える療法で、イギリス・台湾などで広まり日本にも伝えられ、主に駅内や百貨店内などで気軽に利用できることからサラリーマンやOL(今はビジネス・パーソンと言います)、主婦などに広まりました。従ってリフレクソロジーの「足つぼ」は、中国医学の経絡経穴思想から発祥したあん摩や指圧の「ツボ」とは全く関連がありませんし、フランス由来のマッサージとも関係ありません。

 最後に柔道整復師(整骨・接骨・ほねつぎ)という国家資格ですが、柔道の歴史は戦国時代に遡り、柔道には敵を殺傷する技「殺法」と、外傷を治療する技「活法」があり、このけがを治す活法が発展して柔道整復術が体系化されました。このように、普段あまり違いを意識していなかった、あん摩・マッサージ・カイロ・整体・指圧・リフレ・柔道整復といった手技療法も、その方法や理論には様々な特徴があるのです。

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