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118.「2022年明けましておめでとうございます」

 2021年末に発表された1年の世相を表す「今年の漢字」の第1位は「金」でした。オリンピック開催年にはこれで4回目の選出になります。また流行語大賞には「リアル二刀流」が選ばれました。エンゼルスの大谷翔平選手がベーブ・ルース以来の大活躍をした事を称えた言葉です。

 一方現実には2020年に続き、新型コロナにより行動の自粛が余儀なくされ、経済・人流が大幅に制限された1年でした。新型コロナワクチン輸入が河野大臣主導の元で行われ、当初はなかなか接種が進みませんでしたが、菅総理の号令も後押しして接種が加速度的に進み、10月頃には希望する国民7割以上への2回接種が終了、感染者数も減少傾向となる中で岸田内閣へとバトンタッチされました。しかし年末には新たにオミクロン株という変異株が世界中に広まりつつあります。

 スポーツ界から人々に希望を運ぶ流行語に続く上位の言葉の中には「変」「新」などこれからの「ポスト(後の)コロナ時代」と言われる新たな時代の幕開けを感じさせる言葉も見られ、民間人の宇宙旅行が次々と行われるなどこれまでに無い時代の潮流も感じられます。

 また身近な所では最近のガソリン(石油)の高騰は家計に非常な重荷となっています。この1年で原油の値段は1バレル40ドル台から80ドル台へと急上昇し、それに続いて「電気」「ガス」料金、さらには食品や生活必需品が値上がりしています。過去にも2度のオイルショックを1970年代と1980年代に経験した日本ですが、コロナ・ショックがようやく回復基調になっている矢先にまたもや厳しい現実です。
 
 これには2021年11月にイギリスで開催されたCOP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)でも話し合われた「石炭・石油など二酸化炭素(CO2)を排出する化石燃料の使用を減らし2050年までにCO2排出実質ゼロを目指す!」という目標とも関連しています。

 現在の気温は産業革命(18世紀後半の石炭利用による工業化)前に比べて1.1℃上昇しており、今のまま二酸化炭素を排出し続けると地球の気温は最悪の予想では今世紀終わりには4.8℃も上昇し、グリーンランドや南極の氷が解けて海面が82cm上昇し、内陸部の砂漠化、熱帯地域での台風の強大化、洪水や高潮の被害、病害虫や熱帯性感染症の増加、穀物生産や漁獲高の減少による食糧難など、異常気象による甚大な被害・経済的損失が予想されます。それを食い止めるためには、今後の気温上昇を2℃、できれば1.5℃以内に止めることが必要で、そのためにもCO2排出のないグリーンエネルギー(再生可能エネルギー)に置き換えて行くことが必要だと世界中が気づき初めて、石油の生産が抑制されましたが、まだグリーンエネルギーの供給が追いつかないため、石油の値段が上がってしまったのです。

 今後はSDGs(持続可能な到達目標)を達成するためにも、私たちはいろいろなコストと努力をかける必要に迫られています。しかし「うっせいわ」「親ガチャ」「Z世代」などという流行語に象徴される現代の若者たちには、厳しい現実の中でもたくましく生き抜く若い力と柔軟な知恵が確実に育まれていると感じられ、民主主義・資本主義の旗の基で「成長目標」を掲げて分断と格差を広げて来た昭和世代から、「SDGs」を目指す世代へと着実に世の中の考え方自体が変わってきているのだと実感させられます。


「くすぐる診療所」 (2022/12/15) No.118. 2022年1月号掲載

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