131.2024年明けましておめでとうございます。
みなさんにとって2023年はどのような年だったでしょうか? 猛暑と暖冬、ウクライナやパレスチナの戦争、円安と物価高、大谷選手の大活躍などのニュースが印象に残っていますが、私にとっては転機の年でした。家族で久しぶりに日本の神々の最高神・天照皇大神(あまてらすおおみかみ)をお祭りする伊勢神宮に参拝してこれからの新たな門出をお祈りして来ました。
2020年初頭から始まった新型コロナの世界的パンデミックは4年目に入り、ようやく昨年5月に5類感染症へ移行しマスク着用が自由化されました。多くのインバウンド(=「外から中に入って来る」意味)つまり「訪日外国人観光客」もコロナ禍前の水準まで多くなっています。
私は「旅行」好きが高じて以前に旅行の「添乗員(てんじょういん)」の資格を取ったことがありますが、添乗員の正式名称は「旅程管理主任者=ツアーコンダクター」と言います。資格を取るまでは知らなかったのですが、実は「バスガイド」さんは「バス会社の人」で「運転手」さんと共に「乗務員」の1人です。そして「添乗員」は「旅行会社の人」でお客様の管理が仕事です。
ガイドさんはバスの車窓からの景色や観光情報をおしゃべりで提供して「お客様を楽しませる」事がお仕事です。バスの運転席のすぐ横側に「ガイド席」と言う補助席があるのですが、添乗員や乗客はガイド席を使用することは出来ません。
一方でガイドさんと混同されやすい「添乗員」ですが、通常は運転手の真後ろの正シート席に座り、運転手さんとコミュニケーションを取りながら「旅行を計画通りに遂行する」ことをお仕事としています。具体的にはこれから訪れる観光地や昼食会場、土産物屋、旅館ホテルの予約人数や到着時間の確認をしたり、拝観料や食事・宿泊の精算、集合時間や座席表を決めたりと旅行が予定通りに進むように準備や手配をするお仕事です。
しかし最近では、バスガイドさんがめっきりと減ってしまったためにガイドさんが乗っていないバス旅行も多くなり、その時には添乗員が車窓からの景色や観光地の案内と言うバスガイドの仕事を兼務する事も有ります。
さて話を戻して、皆さんも最近インバウンド=外国人観光客がとても増えて来ていると感じていると思います。政府の政策として 2007年に観光立国推進基本法が施行され、翌2008年に観光庁が設置されました。観光関連の民間企業で作るツーリズム産業団体連合会と日本観光振興協会を始めとした観光業界の様々な活動が功を奏し、2005年に670万人であった訪日外国人旅行者数は、2013年以降急増して2015年には約3倍の1973万人を超え、2019年には過去最高の3188万人(日本政府観光局JNTO発表)にまで達しました。その後のコロナ禍で2021年は25万人まで激減しましたが、2023年は2500万人まで回復すると推計されています。
コロナ禍では在宅勤務が推奨され、会議も面接も診察も在宅でインターネットを通じて遠隔で行うという、過去には無かった生活や仕事の様式が一気に普及して、「オンライン飲み会」や「バーチャル旅行(バーチャル観光、オンラインツアー)」など、お家にいながらインターネットを通じて人と交流したり旅行気分を味わったりと言う新たな楽しみ方が登場したのですが、やはり人は実際にその場に行って旅行を楽しみたいのですね。それが現在のインバウンドの回復に表れています。
一方在宅の推進の反動として高齢者が一層孤独化してしまい、高齢者のフレイル(=脆弱性、老衰化の意味)が進んでしまいました。筋力が落ちたり(身体的フレイル)、気分がふさいだり(精神的フレイル)、他人との交流が無くなってしまったり(社会的フレイル)、コロナ禍以降に高齢者の孤独化・孤独死が一層増えてしまいました。今後も新たな世界的な感染症や、少子化・人口減少・都市への人口集中によって田舎では一層無人化・機械化が進み、人と人とのつながりがどんどん希薄になるかも知れません。医療の進歩も大切ですが、人と人とをつなぐ介護の分野も医療にまして大切になってきています。
介護サービスを必要とする人とサービス事業所をつなげる調整役としての役割を果たすのは「ケアマネージャー(ケアマネ)=介護支援専門員」と呼ばれる専門職で、介護保険法に基づいて「要介護認定」を受けた方が日常生活に必要としている介護やサポート(ニーズ)と、介護施設・事業所の提供する介護サービス(社会資源)を結びつける「ケアプラン」を作成し介護サービスの提供を実現することがお仕事です。このようなサービスで1人田舎に残された高齢者の生活が支えられていて、今後ますます支えあい・助け合う仕組みを充実させることが必要となって行くと考えられます。
「くすぐる診療所」 (2023/12/15) No.131. 2024年1月号掲載