08.「動脈硬化」 ~『予防する医療』への意識改革を!その8~
現在、「がん」に次いで死因の第2位をしめる「動脈硬化性疾患」は、心筋梗塞や脳梗塞など、いったん病気になれば命に関わり、治っても重度の後遺症が残りやすい病気です。しかし「がん」同様、現在の自分の動脈硬化の危険度を知ることで、予防的な治療が可能であり、生活習慣の改善、きちんとした診察・治療により今後の人生が大きく左右される病気です。
動脈硬化が悪化する危険因子は様々なものが明らかにされており、脂質異常症(高LDLコレステロール、高中性脂肪)や高血圧、糖尿病、高尿酸血症、メタボリックシンドローム(内蔵型肥満)、慢性腎不全、末梢動脈疾患などの病気がすべて動脈硬化を悪化させます。
また生活上では、たばこ、肥満、加齢、性別(男>女)、家族歴、運動不足、肉食、野菜不足などが動脈硬化を悪化させる原因となっています。そのため、これらの病気の検査と治療、生活習慣の改善は、すべて一体となって行う必要があり、一つだけを治療しても他を治療しなければ、結局動脈硬化は悪化していきます。
検査としては、身長・体重測定により肥満度(BMI)検査、血圧測定(できれば家での血圧測定が良いです)、血液検査、動脈硬化検査(ABI/PWV検査)、頚動脈エコー、冠動脈CTなどで現在の状態を調べます。
ガイドラインに従って、薬の治療を行うのと同時に、禁煙、食事の改善(ダイエット)、血圧測定、体重測定を自分で家庭でも行います。LDLコレステロール治療や、ストレッチなどの運動が、動脈の弾力・動脈硬化の改善を促すこともわかってきています。
またダイエットは「運動」のことと考えている方も多いですが、本来「ダイエット=diet」の意味は「食事」であり、つまり「食事療法」により「やせる」ことをダイエットと言うのが正しいです。しかしダイエットの方法は多種多様であり、民間療法では体に悪いものあるため、主治医と相談の上自分の生活に合ったダイエットを行うようにしましょう。
(「くすぐる診療所」2012年11月号より改訂)