020.『予防する医療』への意識改革を!その16「インフルエンザ・肺炎球菌の予防接種を!」
今年も暑い夏が長く続きましたが、ようやく朝夕が冷え込み秋の深まりを感じる様になりました。
こうなると今年もインフルエンザの時期が近づいています。予防医療の第一歩は予防接種にありますが、高齢者、子供さんはもちろん、働き盛りの大人の方も積極的にインフルエンザ予防接種を受けましょう。
予防接種をしてから免疫力が定着するまでには1ヶ月ほどかかるため、11月頃に早めに接種を受けることが勧められます。
ただし予防接種を受けても、重症化は予防できますがウイルス感染は予防できません。そのためうがい・手洗いをすることはやはり必要ですし、暖房による部屋の乾燥を防ぐため加湿器具とできれば湿度計があるとよいでしょう。また高齢者はインフルエンザに引き続き肺炎を起こすことも多く、中でも「肺炎球菌」という細菌が原因の場合が最も多いため、肺炎球菌の予防接種もしておくことが勧められます。
なお肺炎球菌ワクチンはインフルエンザワクチンとの同時接種も可能で、一度接種すると5年間は有効です。高齢者の「肺炎」は死因の第4位で、「がん」「心疾患」「脳卒中」など生活習慣が原因でおこる病気に次いで多く、1回の入院で50万円ほどの医療費がかかってしまいます。
現在肺炎球菌ワクチンは自費で約7〜8千円と高価ですが、1度打てば効果の持続が5〜10年と長く、肺炎の50〜80%を予防できるという文献もあるため、長い目で見ればそれほど高額ではないと言えます。更にもし行政から補助をするとしても、例えば一人あたり2千円の助成を行っても、250人に予防接種をして5年間で1人の肺炎が予防できれば元をとれる訳ですので結果的には医療費がかなり抑制されると考えられます。
「予防接種」に関しても、いかに「予防医療」が住民の健康を守ると同時に自治体の活性化にもつながるかご理解いただけると思います。
(「くすぐる診療所」2013年11月号より改訂)