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114.「栄養のお話し」〜その2「健康な体格指数BMIは?筋肉の維持が重要!」

 この連載の大きなテーマは「予防する医療への意識改革を!」「自分の体は自分で守る!」ということです。生活習慣病やがんなどの多くの病気は、ひどくなってしまってからでは治せなくて手遅れになることが多く、まさに「後悔先に立たず」となってしまいます。そのような患者さんを数多く診てきたために、少しでも早期に発見を目指す検診や予防が大切だと、より多くの方に伝えたいと思って書いてきました。

 コロナウイルスのワクチンに関しても、実際ウイルスにかかってからの症状や後遺症の苦しさに比べると、ウイルスの一部分のレプリカ(模造品)を数時間で無くなる形で体に入れる「ワクチン」の方が症状(副反応)は軽度で済む、という2つの事を天秤(てんびん)にかけると、「ワクチンを打った方が得策だ」と考えられます。

 生活習慣病の一つでもある「肥満」は、欧米ではBMI>30以上、日本ではBMI>25以上と定義されていますが、以前にお示ししたように、体格指数BMI(ボディ・マス・インデックス)は、(体重kg)÷(身長m)÷(身長m)=で計算でき、例えば156cm(1.56m)で57kgの人なら「57÷1.56÷1.56=23.4」と計算機で簡単に計算できます。逆に自分の身長で健康的なBMIの上限と下限は何kgかということも同様に計算できます。やり方は(身長m)×(身長m)×(BMI)=という計算です。健康なBMIの上限は日本では25ですから、先ほどの156cmの人で計算してみると、身長をm:メートルに直して、1.56m×1.56m×25=60.8kgが健康的な体重の上限となります。自分の身長(m)でも試してみてください。「1.〇〇m×1.〇〇m×25=上限kg」です。

 特に60歳までのいわゆる中年までの人はこのBMIを上回らない様に運動をして減量することが良いと考えられます。では健康的なBMIの下限はと言うと、実は年齢によって変わってきます。

 「日本人の食事摂取基準2020年版」によると、18-49歳まではBMI:18.5が下限で、先ほどの156cmの人なら1.56×1.56×18.5=45.0kg以上となります。しかし50-64歳ではBMI:20.0となり、156cmの人で1.56×1.56×20.0=48.6kg以上が健康です。65歳以上ではさらにBMI:21.5以上、つまり156cmの場合1.56×1.56×21.5=52.3kg以上が健康な体重となります。

 このことは高齢者ではむしろ痩せすぎが良くないということを示していて、他のデータでも65-79歳の日本人高齢者2万6千人を11年間追跡した結果、BMI:22以上とやや太っていた人の方が、BMI:22以下の痩せていた人よりも死亡率が低かったという結果や、60歳代以降では年代が上がるにつれて、死亡率が最も低くなるBMIは高くなって行くというデータが出ています。これは、高齢者では若者と違い、運動不足と食事(特にタンパク質)摂取不足が同時に起こり、「サルコペニア;筋肉減少」から様々な病気につながって行くと考えられます。
 逆に、高齢者は、筋肉を落とさないようにしっかりと体を動かして、タンパク質を十分に摂ることが健康を保つ上で重要だと示されています。つまり、若者は太らないために、高齢者は痩せないために(筋肉量を維持するために)、「運動が重要である!」ということなのです。

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