021.「ジェネリック」って何?
短い秋から一気に冬に突入した感のある今日この頃です。ある日患者さんから「先生ジェネリックって何や?」と尋ねられました。
お答えします。ジェネリックとは「後発医薬品」のことです。
と言っても解らないので、薬がどのように売られるかということから説明します。
あるお薬が新たに開発されると製薬会社は特許を取得し、独占的に販売します。これは薬の開発に莫大な費用がかかるため、これを回収する(かかった費用の元を取る)ための仕組みです。
20年経つと特許期間が終わるため他の製薬会社でもこの薬と同じ成分の薬を売ることができるようになります。例えば「ガスター」という胃薬は元々アステラスという会社が開発した「ファモチジン」と言う薬成分に、商品名として「ガスター」という名前が付けられ先発医薬品として独占的に売られたものです。特許期間が終わり、現在30社近い会社から同じ薬成分「ファモチジン」を使って「ガスイサン」「ガスセプト」「ガスドック」・・・など様々な商品名の薬が販売されています。この元の薬成分名のことを英語で「Generic name(ジェネリック・ネーム)=一般名」ということから、同じ成分で作られ後から販売された薬のことを全て「ジェネリック」と呼ぶようになったのです。
後発医薬品=ジェネリックは先発のものより安いコストで作られるため薬代が安くなります。そのため厚生労働省が主導してこの「ジェネリックを使い医療費を抑制しましょう。」と勧めているのです。
しかしジェネリックは同じ成分でも胃腸での溶け方が多少違うために、先発医薬品と比べて効果に差が出る可能性があります。ジェネリックを使う場合はこのように効き目の違いが多少あることを承知の上で使う必要があります。詳しくはインターネット上で「オレンジブック総合版ホームページ」として公開されていますが、膨大な数字の羅列で専門的すぎて一般には理解しにくいです。
ジェネリックに変えてから「明らかに効き目が違う」という場合にはドクターや薬剤師さんに相談して、元の薬に戻したり、他のジェネリック医薬品に変えることも検討してみましょう。
(「くすぐる診療所」2013年12月号より改訂)