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012.「肝臓がん」その2「アルコール性肝炎、脂肪肝炎」    ~『予防する医療』への意識改革を!その11~

 前回は、肝炎ウイルスによって引き起こされるB型肝炎や、C型肝炎から慢性肝炎→肝硬変と進んで行き、そのうち高率に肝臓がんが発生するというお話でした。

 現在肝炎ウイルスの検査・治療が普及してきており、ウイルス性の肝臓がんは今後減少し行く見込みです。
 それに対し今後は「アルコール性肝炎」や「脂肪肝炎」が増えて行く見込みです。

 ただ単に肝臓に脂肪が着く「脂肪肝」というだけでなく、脂肪肝炎はASTやALTといった肝臓の逸脱酵素が上昇する状態で、肝臓内に常に炎症が起こって肝臓が壊れ続ける状態です。そのためアルコール性および脂肪肝炎からもウイルス性肝炎と同様に肝硬変、肝臓がんが生じてきます。

 これらは、脂肪、炭水化物、アルコールなどの高カロリー摂取による肥満だけでなく、偏食、ダイエット食などでも起こり、多様な原因によって引き起こされることが最近の研究でわかってきています。
 体内の時計遺伝子の影響や、腸内の細菌が関係しているといった意外な研究報告もあり、まだまだ未知の部分が多くあります。

 このように脂肪肝炎の原因・治療法はまだ確立されていませんが、アルコール性肝炎はアルコールを控えることで予防可能ですので、節度のある飲酒を心がけ、これまで一生分以上のお酒を飲んできた人は、もうこれ以上お酒を飲むのはやめておくようにしましょう。


(「くすぐる診療所」2013年3月号より改訂)

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